佐藤オオキさんがアナザースカイの“もう一つの故郷”として選んだのは、イタリア・ミラノ。
彼が初めてミラノを訪れたのは大学卒業旅行、でも「忘れられない空」として再びその地を訪れたのは、まさにデザイナーとして大きく飛躍したタイミングでした。
「余白」──何もない空間や時間が、想像力を育む。
そんな“余白”のチカラを、彼はこの旅で再確認したと語ります。
デザインの原点は“ミラノ・サローネ”にあり
佐藤オオキさんが「アナザースカイ」で訪れた地は、世界的なデザインの都・イタリアのミラノ。
彼がデザインの原点と語る場所です。
大学卒業後に初めて訪れたミラノ・サローネ(世界最大級のデザインイベント)で、彼は自由で多様な表現に衝撃を受けたと語っています。
日本で学んできた“正解を求めるデザイン”とは異なる、もっと感覚的で、直感に従ったデザインのあり方。
現地の空気や展示のダイナミズムに触れたことで、「自分もこういう場所で勝負したい」と思うようになったそうです。
その体験が、後にnendoの設立やグローバルな活動へとつながったことを、番組内でも静かに語っていました。
彼にとって、ミラノは単なる旅先ではなく、デザイナーとしての原点なのです。
旅先で磨かれる“余白”とミニマリズム
【大阪・関西万博】日本館 / Japan Pavilion
— japan-architects (@JapanArchitects) April 9, 2025
建築デザイン:佐藤オオキ(nendo)
建築設計:日建設計
開催国としてプレゼンする拠点でテーマの具現化や日本の取り組みを発信。円環状の構造体でいのちのリレーを体現。主にCLTで構成され万博終了後にリユースできるように設計https://t.co/ZuNYCkiXpa pic.twitter.com/KgSp9R3hLp
佐藤オオキさんの旅スタイルは、どこか意外で、そして非常にストイックです。
番組で紹介されたミラノでの滞在では、同じホテル・同じレストラン・同じ服装を徹底しており、無駄な判断や変化を極力排除するという徹底ぶり。
「選択を減らすことが、自由な発想を生む“余白”をつくる」と話すその姿は、まさにミニマリズムそのもの。
彼は“余白”を、単なる空白ではなく「新しいものが生まれるために必要な空間」としてとらえており、旅先でもその考えを実践しています。
日常から離れた環境だからこそ、自分の中の雑音を消し、本質的なインスピレーションと向き合える。
それはまさに、デザインにも通じる姿勢。旅=発想の訓練と語る彼のスタイルには、深い哲学が息づいています。
セットデザインにも生きる“北・東・南”の余白
フランス高速鉄道TGV新車両 日本人デザイナー起用
— beep_R_A.K. (@beep_roadrunner) April 1, 2025
フランスで2026年に運行予定の高速鉄道TGV inOuiの新車両が公開された。内装を手掛けたのは、日本人デザイナー佐藤オオキ氏率いるnendo。佐藤氏は大阪・関西万博で日本館総合プロデューサーも務めている。
テレ東BIZhttps://t.co/0qAvY7TOpo pic.twitter.com/iyNj72eYpb
2018年、佐藤オオキさんは『アナザースカイ』のスタジオセットの全面リニューアルを担当しました。
コンセプトは「旅の象徴」である“羅針盤”で、スタジオ中央に北(N)・東(E)・南(S)の3文字を取り込んだシンプルで象徴的な空間が生まれました。
白を基調にした構成は、ゲストの語る“空”や“想い出”が自然と引き立つように設計されており、ここにも“余白”の考えが活かされています。
佐藤オオキさんは「空間はしゃべりすぎてはいけない」と語り、情報をそぎ落とすことで、見る人それぞれが想像力を働かせる余地を残しています。
旅の記憶を語る番組にふさわしい、静かで開かれた空間。その背景には、彼の旅とデザインへの深い理解がありました。
まとめ
「佐藤オオキ アナザースカイに見る原点|海外で気づいた『余白』のチカラ」は、幼少期や才能だけでなく、“旅”と“ミニマリズム”の中で育まれる創造性に光を当てるテーマです。
ミラノでの体験は、パン屋で出会ったパニーニから始まり、私服やホテルの選択に至るまで、すべてが「余白」を意識した選択だったことに気づかせてくれます。
そしてそれは、彼が番組セットに仕込んだ羅針盤にも象徴されており、私たちに「余白」の重要性を静かに教えてくれるのです。