2025年の陸上界で最も注目される存在の一人が、女子800m日本記録保持者・久保凛(くぼ りん)選手です。
和歌山県串本町出身の17歳は、日本選手権2連覇・インターハイ3連覇・アジア選手権銀メダルと、すでに数々の快挙を成し遂げています。
そして迎えるのは、自身初となる大舞台「東京2025世界陸上」。祖母の影響で陸上を始め、サッカーから転向した異色の経歴を持つ久保凛選手は、果たして世界でどこまで戦えるのか――。
その挑戦の軌跡とエピソードを紹介します。
久保凛のプロフィールと800m日本記録への挑戦
久保凛選手(2008年1月20日生まれ・和歌山県串本町出身)は、東大阪大敬愛高校3年に在籍する現役女子高生アスリート。
身長168cmという恵まれた体格を持ち、専門種目の女子800mで日本記録保持者という輝かしい肩書きをすでに手にしています。
陸上を本格的に始めたのは中学からですが、もともとはサッカー少女で、なでしこジャパンの澤穂希や世界的スター・ネイマールに憧れていたそうです。
年次ベストの推移を見ると、中学2年で2分14秒04、高校1年で2分06秒05、そして高校2年の2024年には1分59秒93をマークし、日本記録を樹立。
さらに2025年、日本選手権で自身の記録を更新する1分59秒52を叩き出しました(日本陸上競技連盟公式)。
この記録は「2分の壁」を破った快挙であり、女子800mの歴史を変える一歩となりました。
そして、いよいよ迎えるのが9月13日開幕の東京世界陸上。
久保凛選手は「緊張はない、挑戦するだけ」と語り、目標を“決勝進出、そして入賞・メダル”に掲げています。
世界選手権の参加標準記録(1分59秒00)までわずか0秒52差。
17歳という若さでありながら、世界記録1分53秒28(クラクフロワ)さえも視野に入れるスケールの大きさが、彼女の真の魅力です。
祖母と家族の支え、そしてサッカーから陸上への転機
【陸上】久保凛が史上初インターハイ3連覇https://t.co/rr71dFSLUT pic.twitter.com/H9BIMdoqgl
— 城丸香織 (@tokyostory) July 29, 2025
久保凛選手の陸上人生を語るうえで外せないのが、祖母・浩子さんの存在です。
浩子さんは元短距離選手で、今も地元で陸上クラブを指導しており、久保凛選手にとっては最初の師匠。
「祖母がいたから陸上を続けられた」と本人も毎日新聞の取材で語っています。
小学生時代はサッカーと陸上を両立していました。
地元の駅伝大会では区間新記録を樹立するなど才能を発揮し、「サッカーより陸上の方が自分に合っている」と感じ、中学で陸上一本に絞る決断をしました。
そして驚くべきことに、父方のいとこはサッカー日本代表・久保建英選手(レアル・ソシエダード)。
まさにスポーツ一家の血筋を受け継いでいるのです。
しかし、順風満帆ではありません。
2025年シーズン序盤は思うような結果が出ず、木南記念では2位に終わり、ゴール後に座り込んで涙を流す場面もありました。
「気持ちがいっぱいいっぱいになると走れない」と冷静に自己分析し、この経験が日本選手権での劇的復活につながったのです。
TBS NEWS DIG : 女子800mの久保凛「最年少とか関係なく自分のパフォーマンスを」現役女子高生が初の世界陸上に臨む
こうしたエピソードからも、久保凛選手は単なる才能だけではなく、挫折を乗り越える強さを持っていることがわかります。
家族や祖母の支え、そして自らを見つめ直す力が、彼女を世界の舞台へ押し上げたのです。
高校生アスリートとしての素顔と未来への展望
競技の厳しいトレーニングに励む一方で、久保凛選手には等身大の17歳らしい素顔もあります。
大阪の寮生活では愛犬「ふうた」(シーズー)と過ごす時間が心の支えだと話し、「ツンデレで、帰ったら寄ってきてくれるけど、それ以外はそっけない」と笑顔で語っています。
こうした自然体の姿も、多くのファンの心を惹きつけています。
実績面では、日本選手権2連覇・インターハイ3連覇という前人未到の快挙を成し遂げ、さらにアジア選手権2025で銀メダルを獲得。
高校生でありながら、すでに「世界に通用する中距離ランナー」として評価されています。
本人の口からも、「自分は800mで世界に通用する選手になりたい。そのために世界記録を目標にしたい」という力強い言葉が聞かれます。
オリンピック競技大会 : 久保凛「今年に入るのが不安だった」日本陸上選手権で唯一日本記録を更新した17歳が乗り越えたもの/女子800m
北口榛花選手や田中希実選手のように、世界で戦える日本人選手を目標に掲げつつ、「その上を行く存在になりたい」と未来を見据えているのです。
まだ17歳、そして現役高校生。
世界陸上2025は、久保凛選手にとって**“史上最年少ファイナリスト”という大記録に挑戦する舞台**になります。
彼女が世界のトップランナーと肩を並べる瞬間を、多くの人が心待ちにしています。
まとめ
久保凛選手は、祖母や家族の支えを受けながらサッカーから陸上へ転向し、女子800mで日本記録を樹立した17歳の逸材です。
インターハイ3連覇・日本選手権2連覇・アジア選手権銀メダルと実績を積み上げ、ついに迎える「東京2025世界陸上」。
史上最年少ファイナリストという新たな歴史を刻むかもしれません。
今、日本陸上界が最も注目する未来のヒロインです。